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ファガジーダの謎(後編)

fagagida2


2002
7月,韓国の全北大学金宰植教授に招かれて農科学部造景学科の学生に夏季大学特別講義をする機会がありました.
金宰植教授は,ペンシルベニア大学芸術大学院での同窓です.

3日間の集中講義の最終日の朝,ホテルで朝食をとっていたとき,
近くのテーブルにいた女性がウエイターに注文していました.
韓国語は全くわかりませんが「コピ」と聞こえました.

しばらくしてウエイターが持ってきたのはコーヒーでした.

講義のあと,学科長の金教授に「コピ」の話をしました.

金教授は,「韓国人が『coffee』と発音すると『コピ』に聞こえるよ」と教えてくれました.

何か感じるものがあって「では,『ファガジー』はなんて発音になるの?」と聞いてみました.

「『パガジー』かな」

「『パガジー』は韓国語で何か意味があるの?」

「『パガジ』ならば、水をすくう「柄杓」のこと.

瓢箪を乾燥させてふたつに割ったものだけど,それがどうかした」と金教授.

「石垣島の御嶽(うたき)【沖縄の神社】では,朝鮮の古銭が見つかる」という文献を八重山の図書館で読んだことを思い出しました.

台湾の方が近いと思われるかもしれませんが,当時の台湾は原住民しか住んでいなく,文化的交流はなかったということです.


また,沖縄独特の瓦は,オス瓦とメス瓦を組み合わせて使い丸太の垂木で支えています.


伝統的な琉球瓦の色は,伝統的な韓国民家の瓦の黒から赤に置き換わるだけで構造は同じです


琉球瓦   韓国の瓦
 
伝統的な琉球瓦          伝統的な韓国の瓦




琉球王朝が朝鮮と盛んに交易をしていたことから推測すると,「ファガジーダ」の語源は「パガジ田」ではないだろうかという仮説が浮かびました.


ここで実際に水を汲んでいたし,ファガジーダを航空写真で見ると,瓢箪を乾燥させた柄杓の形にも見えます

2003年,金教授が来日する機会がありました. 
金教授は「風水」をテーマに博士論文を書いたランドスケープ・アーキテクトです.

ファガジーダの航空写真と地形図を見せると,私の仮説は正しいかもしれないという.

さらに,「パガジ田は,風水でいう明堂ではないだろうか2」という.


2)村山智順 著 朝鮮総督府 管修/「朝鮮の風水」(民間信仰第2部)/1931

「ヌスクマーぺーは、地域の象徴的な山です.
そのふもとに淵ができてちょうど水を汲みやすい場所になっています.パガジ田は、ヌスクマーぺーにとってとても大切な場所だったのではないだろうか」という.

ただひとつ違うのは,風水学上,主山は明堂の北にあるはずなのが,ここでは主山が東にある点だという.

ファガジーダがパガジ田であるかどうかはわかりません.

でも,もしそうだとしたら,
昔の八重山の人たちがパガジ田でどのような祭典をしていたのか興味がわきます

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ファガジーダの謎(前編)

ヌスクマーペー 
ファガジーダから見るマーペー/Whatman SM(227×158)

 

沖縄県石垣市野底に地元でファガジーダと呼ばれている不思議な土地があります.

何が不思議かというと,伝説の山マーペーから流れてくるふたつの沢が交わりそうで交わらないでファガジーダを迂回してから合流するからです.

 

fagajida 
ファガジーダ


伝説の山マーペーからはじめしょう.
石垣島野底に標高282mの野底岳があります.
野底岳は,地元ではヌスクマーペーと呼ばれています.


マーペーとは,この地域に伝わる伝説のヒロインの名前です.

 
伝説では,「石垣島の南西にある黒島に生まれ育ったマーペーは,恋人を黒島に残し強制的に石垣島に移住させられました.
黒島では作物の生産が限られているため人頭税が払えず,人頭税の未納分は村民の共同責任となったからでした.
マーペーは,恋人のいる黒島を一目見ようと野底岳に登りましたが,標高525m於茂登(おもと)山が視界を遮り黒島は見えません.泣き崩れたマーペーは岩となってしまった」というものです.

この伝説は,明治36年まで約500年も沖縄人を苦しめた人頭税という非人道的制度1が背景になっています. 

1)          大浜信賢 著/「八重山の人頭税」/三一書房/1971


ヌスクマーペー2 
ヌスクマーペー


野底岳から流れるふたつの沢は,わずか数メートルの距離まで近づきながら,

そこでは交わらず再び左右に分かれて流れます.合流するはずの場所に大きな岩があるからです.


よく見ると岩にぶつかった地点の沢は淵となっていて,左右の沢の水位が違います.
どんなに日照りが続いてもここだけは沢の水が常にあるため,かつては,ここで飲み水を確保していたといいます.

一度左右に分かれた二つの沢は,今度こそ合流して西浜川となって海にそそいでいます.

本来ならば合流するはずの地点から実際に合流する地点までの二つの沢に挟まれた土地がファガジーダです.

ファガジーダという名前も地形的特徴も気なったので,八重山地方の教育機関に問い合わせたり図書館で調べたりしてみたが,ファガジーダの語源はわかりませんでした.

ファガジーダの謎を解くことになるかもしれない鍵は,翌年,ソウルで見つけることになります.

(つづきは来週の土曜日に)


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蘇州の朝(2012年8月)

蘇州星海街 

蘇州星海街/中華人民共和国:アルシュ 細目 26cm×36cm

 

早朝の蘇州の風景.

街路樹はクスノキ.幹の目線より下は白く塗られています.

交通安全上の対策でしょうか? わかりません.

絵の左側の私有地の樹木は同じクスノキなのに幹は白く塗っていません.


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